政権交代による雇用への展望

去年の元旦朝ナマで『派遣村』を取上げ今年も仄めかしていたものの実現しなかったが、年末のやじうまプラスで、新政権の格差解消へ向けた『製造業の派遣原則禁止・最低賃金を時給千円』を取上げ伊藤 洋一の尤もらしい否定意見に集約されていたが、「陛下の政治利用」と詰る羽毛田宮内庁長官と同一理念で動いていると思えた。
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やじうまプラス年末トークバトル(2009.12/31 木)

政権交代で雇用は… 
賃金引上げに悲鳴


〔ナレーション〕
景気回復を宣言した鳩山総理。
雇用の安定を目指して鳩山政権が抱えている政策は‥

雇用対策①労働者派遣の見直し
去年のリーマンショックを背景に表面化した派遣労働者の問題。
・長妻 昭/厚生労働大臣
「製造現場への労働者派遣は原則禁止‥」
民主党はマニフェストで製造業への派遣や登録型の派遣を原則禁止にするとしている。
民主党マニフェスト.39
製造現場への派遣を原則禁止するなど、派遣労働者の雇用の安定を図る


雇用対策②最低賃金を時給1000円に(全国平均)
低賃金で過剰な労働を強いられている、いわゆるワーキングプアなどの問題に対処するため、民主党はマニフェストで最低賃金を時給1,000円に引き上げるとしている。
民主党マニフェスト
●中小企業を支援し、時給1,000円(全国平均)の最低賃金を目指します。

だが一方で景気後退の中、中小零細企業の経営者にとっては、どうなのか?
東京大田区で半導体や液晶部品の加工を取り扱っているこの会社(三幸精機工業)では現在10人の従業員1を抱えている。
・大塚啓太/三幸精機工業社長
今の日本の状況を見てみますと決して仕事の量が潤沢にあるわけでもないですし、仕事の量が増えてこない限りは(最低賃金)1,000円を維持していくのは非常に難しいのではないかと思います。
〔ナレーション〕
それどころか、最低賃金の引き上げは失業者を増やす事に繋がりかねないという。
・大塚啓太/三幸精機工業社長
最低賃金を(時給)1,000円にすることは、低賃金の人を救うという意味では非常に聞こえのいい話しではあるが、逆に(時給)1,000円以上働く事のできない能力の人は切り捨てられていくという事を考えたときに、かえって雇用情勢としては厳しくなっていくのかなと思います。
〔ナレーション〕
出口の見えない不況‥。大塚社長は、鳩山政権に対しこんな要望を口にした。
・大塚啓太/三幸精機工業社長
賃金が低くても食べる事に困らないある程度の教育が受けられるとか、ゆとりのある生活を出来るような体質というか国づくりをしていかなければならないのかなと思います。


〔VTR〕
・下平 さやか(司会)
デフレや円高が進んでいく中、日本の景気はこの先どうなっていくんでしょうか?そこで疲弊しているとされる地方経済を担当している総務大臣の原口一博さんと、成長戦略を担当されている国家戦略質の内閣府政務官・津村啓介さんにおこしいただきました。
・小松 靖(司会)
さて、早速ですがちょうど去年の今頃になりますけれども派遣斬りの問題が注目を集めました。鳩山政権はこの派遣斬り、対策としまして製造業への派遣原則禁止を盛り込んだ法改正案を来年の通常国会に提出する方針です。さっそく原口大臣にお聞きしたいんですが、まぁ本当にこれ禁止されても『現実に即しているのか』という問題がありますよね?
・原口 一博/総務大臣
そうですね、『働く人達をまるで物のように大変劣悪な状況に置くってことは止めなければならない』。

・下平 さやか
そして同じくですね、全国平均の最低賃金を時給1,000円にするというのが民主党のマニフェストに掲げている約束なんですよね。これも津村さん、その‥『中小企業の経営者の方々にしてみれば、1,000円だったらかえって雇えなくて雇用情勢がかえって悪くなってしまう』と‥こういう声が上がっていますがいかがでしょうか?
・津村 啓介/内閣府政務官
そうですね。これは、民主党の基本政策の重要な一部分ではあるんですが‥あの全てではないんですね。(下平:はい)やはり『中小企業全体を応援していこうとそういう全体の底上げを図っていく中で、やはり生活のくるしい低賃金の方々にしっかりと光を当てていこう』。それがこの全国平均1,000円という部分ですから、全体のパッケージで見れば、中小企業の経営者の皆さんも元気が出てくるんじゃないかと思います。
・伊藤 洋一/経済評論家
あの‥いいですか?(下平:はい)あの去年ね、僕ベトナムに行ったんですよ。(下平:えぇ)そしたら日本の工場がいっぱい来ていて、若い人がいったい月いくらぐらいで働いているのかなって調べたんですよ。そしたら20代前後の人はだいたい8,000円で働いていました。月8,000円ではたらいていました。(下平:はい)
だから日本がね、時給1,000円が最低だと言ったときには、同じ仕事をする人を観てみると、それはやっぱりベトナムで作りますっていう話になるし…、じゃあ日本としてどうやったらいいかと、かなり腰の入った‥つまり労働者をどう高めていくとか、いろいろ努力が必要なんです。ただ単純に時間給‥ふふ(馬鹿にしたような笑い)を上げればいいというような話ではないと、私はいつも思ってます。
・原口 一博/総務大臣
その今回の最低賃金で、私達が言っているのは全体のパイ。これの分配が、随分株主により過ぎているんじゃないか?労働者の賃金がずぅ~っと下がり続けてきた。その結果として、不公平感が起きているんじゃないか?逆に産業の活性化を奪っているんじゃないか?それがひとつなんです。
・津村 啓介/内閣府政務官
国民の皆さんはですね、実感として格差が広がったなと‥生活くるしいなと‥そう思っている方が多いから、私達に期待が集まった…。その時に私達が出したメッセージが、やっぱりわかりやすくないと!これから皆さんの生活守りますよ!それが例えば最低賃金を1,000円にすることなんですよ。そこがひとつの大きな政治的なメッセージ(方向性)でした。
・竹中 平蔵/慶応大学教授で元小泉改革の司令塔
実感に頼ると国の方向を誤るというのも、これ政治家としての大きな事実だと思うんですよ。あのね‥バブルのときですら「景気がいいですか?悪いですか?」って国民に実感を聞くとね、(伊藤高笑い)かなりの人が悪いって言うんです。これが、国民の実感なので、もちろん実感を大切にして選挙民の人と話し合うんだけど…事実はこうなんですよ。だからこっちの方に持って行きましょうというのも、また政治の役割だと思います。
・伊藤 洋一/経済評論家
民主党政権には永続的な雇用を生み出す企業を強くする方策が全く無いわけですよ。つまりね、国が事業やって一時的に生み出す事はできますよ。でも永続的な雇用を生み出す事は企業でしかないわけじゃないですか?つまり、そこの戦略が無いから株式市場も民主党に対して不信感を持つし一時(日経平均株価)9,000円割れそうになりましたよね…。なぜだったら成長戦略が無いから。
・原口 一博/総務大臣
今、僕らが言っているのはコインの表と裏から見ているわけで、生産生を上げると共に何をやらなければいけなかったのかというと社会の方のセーフティーネットを作っておかなきゃならなかった。社会保障というものをキッチリ…こないだフィンランド行きましたけど、フィンランドじゃ働く人達3時に帰って子供達に読み語りしてるわけです、保護者が‥。そうすると子供達の国力は世界一です。ガサガサガサガサやらなくても、しっかりと自らの生産生を再生産できるわけです。
・江川 紹子/ジャーナリスト
日本もね、北欧のように税金をうんと高くして、失業しても困らないようにします‥その全体が見えなで北欧の名前出されても本当に困惑するので‥。原口さんとしては‥日本を北欧のようなタイプの国にしたいということでやってらっしゃるんですか?
・原口 一博/総務大臣
労働を中心とした(日本独自の)福祉社会型社会をつくりたいと思っています。
それは、人間の尊厳。規制には二つある。人間の尊厳を保証する規制は社会型規制って言うんですね。ここは、強化なんです。そしてもう1つ経済規制は出来るだけ自由であったほうがいい。
・竹中 平蔵
その経済を強くする為にね、おっしゃったようにできるだけ経済規制をやっちゃいけないと私は思うんですね。経済規制を出来るだけやらないで社会保障やるならいい。ところが今行われているのは(笑)経済規制ではないかと?派遣の問題もしかりですしね‥えぇそれと、農家の個別保証も農家のまさに弱い所を支援するのではないかと?
・津村 啓介/内閣府政務官
規制はいろんな緩和があったけど、今やはり守らなければいけない規制もやっぱり出てきた。さきほど、規制強化の話ばかりされましたけども、それとセットで成長戦略がある。「成長戦略無い無い」って、皆さん仰るけれどもマニフェストの中にだって沢山はいっているんです。
・竹田 圭吾/ニューズウイーク日本版編集長
だったらなんで、最低賃金だけ先にマニフェストに入ってくるのかと?セットであくまで考えて、実行されるべきなんじゃないのかという疑問だと思うんです。

・三反園 訓/テレビ朝日コメンテーター
あの民主党は何をやってくれるのかと?来年の、我々の生活はどういうふうになるんだろうとか。我々の未来はどうなるんだろうとか、政治家の大臣達のメッセージが欲が聞きたいんですよね。
・原口 一博/総務大臣
人に投資をしたいと思っているわけです。この国はですね、本当に大きな力のある国なんです。ところが、人に対する投資というものが、いろんなところで滞っている。実質、国民に使われていないんです。それをやりたいと思っています。
〈VTR:終〉



・下平 さやか(司会)
景気の先行きに対する不安は中々とまりませんよねぇ。(小松:そうですねぇ)
そんな中、昨日政府は2020年までの成長戦略の基本方針を決定しました。
・小松 靖(司会)
はい、一口に成長戦略といっても自民党時代とは随分と対照的なようです。
おさらいしますとまず自民党は、企業の生産生向上など売り手を強化するのが戦略でした。まぁこれに対して、民主党を中心とした鳩山連立政権は、国民の購買意欲向上など買い手に軸足をおいている。こういった特長があります。
さて、そうするとどうなるのか?買い手に軸足というのは‥まず、雇用を確保して、不安を解消すると消費が拡大すると企業の供給が増えると。まぁこれがひいては経済成長に繋がっていくという筋書きのようですが、あのVTRでも主張されていました伊藤さん。これ、どうご覧になりますか?
・伊藤 洋一/経済評論家
あのね、よく供給サイド・需要サイドっつって、どっちが重要かという議論するわけじゃないですか。で、一国で需要が一国の中で供給されるんだったら、それがパラレルで討論される意味があるんですけど、いまはグローバルじゃないですか?さっきVTRで僕は、ベトナムの若者が“1ヶ月8,000円で働く”って話をしましたよね?だから例えば民主党が家庭に暖かい手当てをする。その需要が日本国内で消費されるんならいいんだけど、(小松:はい)例えば、ベトナムに行ったらどうなるんですか?日本では雇用が生まれませんよね?例えば今、一番日本で売れている衣料品店は殆ど海外で生産をしています。だから殆ど海外で生産をしています。だから、あんまり雇用に寄与してないじゃないですか。だから、グローバルな視点が欠けているわけです。(下平:はい)だから民主党が置かれた環境は非常に厳しいものです。それ、世界的に厳しいんですね。アメリカだって10%の失業率になやんでいるし、ヨーロッパも高い失業率に悩んでいる。それ各国が努力してやろうとしているが中々できない。それ先進国の賃金が高いからなんですね。でもその中で、何かをしなければならないってことで、『出番と居場所のある国』っていう事を言い出した事はいいと思う。でも、それを具体的に働く人の、技能を高めていくとか努力をしていかないとやっぱり需要は海外に流れちゃいますね‥という事があるのと、日本の製品を必要としているのは日本国民だけじゃなくて海外にもいるわけですよね?アジアだけじゃなくて…。(下平:はい)その視点が、どうしても必要ですよね。
・下平 さやか
そうですよね。江川さんそういう事を踏まえながら、雇用不安とか‥例えば法改正とかいろんな事が必要ですよね?
・江川 紹子/ジャーナリスト
そうですよねぇ。だから日本だけのことを考えてんじゃダメなので‥今回の発表されたやつでも、観光とか健康とかそういったジャンルで、力を入れていくということでまぁ、それで新しい産業が、どれだけ育成できるかどうかにかかっていると思うんですけれど、こうやって政治家の人たちと話しててですね、ちょっとなんか空しさを感じるところは、此方が聞いている事に応えてくれるんじゃなくて向こうが言いたい事を、言うって感じなんですね。(小松:笑)だから、北欧の名前出すけれども例えば税金を高くしてね、「高福祉高負担のそういう社会を造ろうとしているのか?」って聞いているんだけど、そうじゃないところで答えられちゃう‥。だからそこのところで、国民の疑問に対して、もうちょっとストレートに率直にこう語って欲しいなとは思いました。
・下平 さやか
そうですねぇ…。
〈終〉








【建物から人へ…2010年度「雇用関係の主な予算】

・失業手当などを受けやすくして雇用保険の補充をする
自公政権より1,408億円増
3,010億円
・雇用維持に努める事業主への助成金
自公政権より6,871億円増
7,452億円
・去年の派遣村での経験を元に、細分化して辿りつけなかった相談窓口を、ハローワーク一箇所に行くだけで総合的な暮らしの支援が出来る体制構築
新規予算
12億円


民主党の貧困抑止『製造業の派遣原則禁止』と『最低賃金を時給1000円』を批判する側は、必ず脅しのように『海外で作るしかない』と反論する。しかし、伊藤 洋一の言うとおり『日本で売れている格安商品の殆どは海外で生産されている』筈で反論と主張に矛盾が見られる。末端企業の多くは、物価安の国々と生存競争を迫られ技術の投売りを余儀なくされ、働く人の貧困が拡大している。
伊藤 洋一の矛盾するコメントを聞いたとき、羽毛田の言葉が脳裏に過った…。
宮内庁長官の羽毛田は、「相手国の政治的重要性、国の大小にかかわりなく実地してきた」と“政治利用”だと批判していたが、『日本国の天皇が日本の国益と無関係な存在であるべき』という文字どうり単なる象徴(飾り)として扱う考えと同様に経済評論家ではあっても、日本人の利益は全く眼中に無いのだと実感した。

日本国民全体の生活の底上げのみに留まらず、むしろグローバル社会で具体的な技能を高めていくためにも、『製造業の派遣原則禁止』と『最低賃金を時給1000円』という“改革の痛み”は必要なのだ。これらマニフェストを実現する事で、低賃金で雇う工場は海外に移転を加速し、海外に行かずに低コストで争うだけの技術なき企業は必衰し淘汰される。労働者は、国内の製造業で単純労働という楽な職場は無くなり、転職を模索し幻想からの脱却による再生が始まる。
国内製造業のとばっちりで低賃金となっていた現実雇用(販売・営業・接客業等)に光が当たり、介護や農業・林業にも活路が開かれる。ちなみに、農家の個別保証が「バラマキだ」「選挙の票集めだ」と批判されているが、国内農業で儲かっている企業や事業者の多くは、数名の日本人を管理者として雇っているだけで、中国人実習生がメインで使われており、実態は日本人の雇用先ではないのだ。
自民党の批判「兼業農家にまで個別保証して、なぜ日本の農業が強くなる」はこれまで自民党政権下での方針であった薬害肝炎やドミニカ移住のような個人(日本人)を切捨てる体裁の良いごまかしに過ぎない。これまでの規制が緩和され一般企業の農業参入が可能になったのなら、日本の政治家が薄い利益で働きながら家族で農業をする日本人を保証するのは当然の事だと思うし、竹中平蔵の言う“国民の実感”も現実の格差を知らない机上の空論に過ぎない。バブル当時の「景気が悪い」との発言は、たぶん自分が儲かっていると思われる事を知られる嫉妬への警戒や、まだまだ儲けるという野心の現われで、現在の危機感とは全く異なる思いからの発言の筈だ‥。
ちなみに、時給1000円(8時間労働で、週5日で1ヶ月で16万円)ですら三幸精機工業社長の結論づけた“ゆとりのある生活”実現とまでは言えないが、日本独自の安定基盤(終身雇用)が崩壊した今、同社長が要望した日本への新たな第一歩には間違い無い。

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