官民挙げた韓国文化のゴリ押し戦略

韓国が国家ぐるみでK-POPの再生数を水増していると、以前木村太郎がフジの生放送で暴露し、しばらく干されたためタブーになっていたが、日経ビジネスオンラインが同様の趣旨の記事を掲載した。



押し寄せる「韓流」~官民挙げた韓国の文化産業戦略

コンテンツ産業振興予算は217億円で日本の2.5倍
テレビをつけると、ドラマやCMに韓流スターが現れる。ネットで人気を呼び、街中に流れる軽快なリズムはK-POPだ。韓流は今や、一部のファンが支える一過性のブームではなく、日常生活に浸透したものになっている。この原動力となっているのは、韓国の国策であり、韓国企業の巧妙な海外戦略である。「クールジャパン戦略」を掲げる日本は韓流とどう戦っていくのか。

映画・ドラマ、音楽から、アニメ、ゲームまで韓流が席捲
韓国製のコンテンツは、日本では2000年代になって公開された「シュリ」や「猟奇的な彼女」などのヒット映画によって身近になった。テレビではドラマ「冬のソナタ」が社会現象となり、一般に韓流と呼ばれるようになった。同ドラマはNHKがBS で2003年4月から半年間、翌年4月からは地上波で放映した。
韓流ドラマの放映は、2000年代はBSやCSが主流であったが、ここ数年は地上波における番組枠が増加している。フジテレビは平日午後に「韓流α」、TBSも平日午前に「韓流セレクト」と名づけた枠を設けている。地上波とBSを合わせると、関東地区においては、1週間におよそ100時間もの韓流ドラマが放映されている。こうした状況に対して、一部で批判が噴出している。
CMでも韓流タレントが存在感を示している。BoAの自動車、ペ・ヨンジュンの眼鏡、チェ・ジウの化粧品の宣伝が話題を呼んだ。最近の大ヒットはチャン・グンソクである。彼を起用したサントリーは、「ソウルマッコリ」の年間出荷計画(35万ケース)を2カ月で達成した。チャン・グンソクはオリコンの写真集ランキングで1、2位を独占し、その広告価値は3500万ドルと言われている。
音楽シーンでは、K-POPのアイドルが2000年代半ばから続々と日本でメジャーデビューを果たしている。かつては演歌歌手が主流だったが、状況は一変した。BoAや東方神起が先行し、2010年から2011年にかけては、少女時代やKARAがブレイクした。抜群のプロポーションと完璧なダンス、同じフレーズの繰り返しは頭に残る。10月にT‐araが、外国人アーチストとして、オリコンランキング史上初の女性デビューシングル初登場1位となった。
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ソウルにある韓流スターの展示館「K☆STAR GALLERY」

ゲーム市場でも、80年代から韓国企業がビデオゲームの開発で実力をつけた。90年代末からは、オンラインゲームで飛躍している。今では韓国は、世界のオンラインゲーム売上の30%を占めるゲーム大国となっている。
最大手のネクソンは、72カ国でオンラインゲームを提供している。2010年には日本のベストゲームを受賞した。2011年12月14日には、東証1部に上場する予定だ。2010年12月期の売上高は697億円、営業利益は301億円と高収益を誇り、時価総額は同業のグリーやDeNAに並ぶ6000億円規模が予想されている。同社は、上場で得た資金でM&Aをする可能性を示唆している。
アニメやキャラクター分野でも韓国製品の海外進出は著しい。ペンギンを主人公にした韓国アニメの「ポロロ」は、韓国国内で人気を博し、80カ国に輸出されている。女の子のキャラクター「PUCCA」は、ウォルト・ディズニーがプロデュースし、ワーナーブラザースがライセンスしている。ベネトンを含む世界の500企業が3000アイテムに使用している。南米では日本のハローキティを上回る人気である。

コンテンツ振興は他産業へ波及し、国のブランド価値を向上
韓国のコンテンツの市場規模は、ATカーニー社の推計(狭義の定義、テレビ、映画、音楽、出版、ゲーム、アニメ・キャラクター)によると、2010年に92億ドルとなった。日本の352億ドルと比べるとまだ小さいが、その成長力は力強い。リーマンショックを乗り越え、2007年以降の成長率は6%に達している――日本はマイナス1%。今後も年平均7%の成長を続け、2020年には現在の2倍近い175億ドルに達する見込みである。
韓国のコンテンツビジネスを牽引するのは輸出である。韓国のコンテンツ振興院(KOCCA)の発表によると、2011年上半期(1~6月)のコンテンツ産業の輸出額は前年同期比27.2%増の2兆225億ウォン(1332億円)となった。音楽(64.1%増の733億ウォン)とアニメ(51.5%増の95億ウォン)の伸びが高い。欧州の通貨危機が深刻化し、世界景気が停滞するなかでも、好調な輸出が続いている。
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韓国政府もエンターテインメントの経済効果を強調(11月2日にソウルで開催された外国人投資セミナー)
韓国がここまで、コンテンツ振興に力を入れるのは、1997年のアジア通貨危機がきっかけだ。自国市場が小さい韓国は、輸出に活路を求め、国際競争力のあるITとコンテンツを重視する政策をとってきた。1999年にはコンテンツ関連の政府予算を、それまでの6倍の水準となる1000億ウォンへ一気に増額した。
コンテンツを中心とした文化産業、ソフト・ビジネスは、それ自体が成長産業であるばかりでなく、国のブランド価値を高め、食など他の産業へも成長効果を波及させている。
顕著な例は、2000年代半ばに世界的にヒットした「宮廷女官チャングムの誓い」(原題は「大長今」)である。台湾と香港で人気に火がつき、中国、日本、東南アジア、欧米、さらには中東、アフリカなど65か国で放送された。番組の販売により、1200万ドル以上の外貨を稼いだと言われる。
注目すべきはこうした直接的効果以上に、いわゆるバックアップ効果が大きいことである。ドラマで取り上げた韓国の食文化は世界へ伝播し、韓国のブランドイメージが向上した。タイでは、韓国料理店が数多く開店し、日本料理店の人気を上回った。またベトナム戦争の影響で反韓感情が根強かったベトナムやカンボジアでも、親韓感情が芽生えた。
日本でも新大久保のコリアンタウンで、多くの韓国料理店や韓国食料品店、韓国スターのグッズを扱うショップがオープンしている。客層は中高年から若年の女性へと広がり、平日も賑わいを見せている。はとバスも立ち寄る東京観光の目玉スポットとなった。


官民挙げてのコンテンツビジネスを振興
韓国では、映画やテレビドラマの制作、K-POPアーチストの育成、コンサートの開催にも国費を投入する。制作費の10%分の販売実績があれば、コンテンツ制作企業は政府による融資保証を得ることができる。金融機関から積極的に融資を受けることができるわけだ。
コンテンツに関連する補助金などの政府予算は、日本が87億円であるのに対して、韓国は217億円。日本は韓国の3.8倍のコンテンツ市場があるが、コンテンツ予算では韓国政府が日本政府の2.5倍を投入している。
韓国は、政府系企業が専門投資組合を組成し、資金面において直接的な支援を積極的に実施している。日本は政府主導で資金提供を伴う支援策は少なく、人材育成や展示会、海外販売支援などが中心である。
2009年以降、韓国政府によるコンテンツ重視の政策はさらに厚みを増している。2009年1月に、大統領直属の国家ブランド委員会を設置し、国家のブランド価値を向上させる対外宣伝戦略を立案している。この大きな戦略の下で、映画、放送、音楽、ゲームなどの大衆文化について、韓国コンテンツ振興院(KOCCA)が韓国企業のコンテンツ制作と輸出を強力に支援している。同院は、それまで個別に活動していたコンテンツ関連組織を、2009年5月に統合したものだ。
2009年10月からは、韓国政府はグローバル市場を見据え、キラーコンテンツを発掘する「大韓民国新話創造プロジェクト」を始めた。目指すのは韓国版ハリーポッターである。完成度の高い良質なストーリーを元に映画、ドラマを制作し、出版、アニメ、ゲーム、キャラクターに拡大する。政府予算として125億ウォン(10億円)を投入している。優秀作には、資金補助から、釜山映画祭への出品、海外契約における法務問題、プロモーションまで手厚く支援する。
先端分野への投資も怠りない。韓国政府はコンテンツの3D化を強化するべく、2010年5月から、5年間で4100億ウォン(320億円)の予算を投じ始めた。中小の映像制作会社でも高価な3D関連装置を共同利用できるように、3D製作スタジオや人材育成のためのトレーニングセンターを設置する。またハード企業との連携を促し、3D基盤技術の開発を支援する。これにより2015年までに国内映像コンテンツ全体の20%を3D化し、2兆5000億ウォン規模の3D新市場を創出する計画だ。
こうした国の重点施策とともに、民間企業の海外戦略も功を奏している。韓国のコンテンツ業界を担う代表的な2社を見てみよう。

韓国芸能界を仕切る「S.M.エンタテイメント」
2011年7月、K-POPスターによるパリ公演「SM Town LIVE in Paris」が欧州で話題をさらった。チケットは、発売後たった4分で完売し、2日間で1万4000人を集客した。10月には、ニューヨークのマジソンスクウェアガーデンでも公演。翌日のNYデイリーニュースは、K-POPスターの来襲と報じた。
仕掛けたのは、韓国最大の芸能プロダクション、S.M.エンタテイメントである。BoAや東方神起、少女時代が所属する。組織を率いるのは、金英敏(キム・ヨンミン)社長である。幼少時代を日本で過ごし、日本語が堪能な41歳だ。同社の日本代表は、エピック・ソニーを創業し、ソニー・ミュージックエンタテイメントやソニー・コンピュータエンタテイメントのトップを歴任した音楽業界の重鎮、丸山茂雄氏が務めている。
S.M.エンタテイメントの特徴は、次の3点にある。1つ目は厳しい練習生制度。年間30万人もの候補がオーディションを目指すが、本格的なトレーニングの対象に残るのは100人程度という。歌やダンスはもちろん、外国語のレッスンも行う。最初から世界を見据えて、語学を習得させ、完璧なプロを育成する。日本のAKB48がファンによって育てられていくのとは対照的だ。韓国のトップアイドルには、デビュー前に1人当たり3億円を超える先行投資がされている。
2つ目は進出先の徹底したマーケティング。衣装や歌詞も国や地域によって微妙に変えている。少女時代のプロデュースに、マイケル・ジャクソンを育てたスタッフ陣が加わり、先進的なマーケティング手法を取り入れた。
3つ目は最新のネット活用。2010年は、K-POP業界全体で、8億件近いクリックを記録した。このうちアジアは5.6億クリックを占める。You Tubeを駆使し、あらかじめ評判を仕掛けてリスクを低減する。少女時代の新曲「THE BOYS」は、YouTubeの世界同時配信で初日に478万クリックを記録した。これは、あらゆるジャンルの全世界におけるYouTube配信のトップ3にランクインしたという。


食品からエンタメまで手掛けるコングロマリット「CJグループ」
一方、メディアサイドで、韓国のエンタテイメント業界を牛耳るのは、コングロマリットのCJグループである。1953年にサムスングループ初の製造業として発足した第一製糖が同社の母体だ。今でも食品業界では韓国でトップクラスに位置する。93年にサムスングループから分離し、1995年に米国の映画会社ドリームワークスへの出資を契機にエンターテインメント事業へ進出した。2002年にはKOSDAQ(韓国の新興株式市場)に上場した。
今までコンテンツ分野に1兆5000億ウォン以上を投資し、韓国映画の観客動員数トップ30のうち、12本を配給した実績を持つ。
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ソウルにあるCJグループ本社(サムスン創業者でもあるイ・ビョンチョルのレリーフが見下ろす)
CJグループで、現在、エンタテイメントやメディアを展開するのはCJ E&Mである。2011年3月に、放送、映画、音楽・公演、ゲームを個別に展開していたグループ各社を統合し、韓国唯一の総合コンテンツ企業となった。これにより、1つのストーリーを多様なコンテンツに展開するワンソース・マルチユースが1社で可能になった。
グローバル化も加速している。すでにスーパースターK、MAMA,マンマミーアなどのテレビ番組、音楽イベント、ミュージカルをアジア全域に展開している。今後は東南アジア7か国に展開する放送チャネルtvNを11か国に拡大する予定である。統合初年度の2011年は、売上高1兆3970億ウォン、営業利益は1550億ウォンを目標にしている。中期では、2015年に売上高3兆ウォン以上、海外売上比率は10%から30%以上を目指す。
CJグループが掲げるビジョンは、「健康と娯楽と快適を創造するグローバル・ライフスタイル企業」である。現在、食品&食品サービス、バイオテクノロジー、エンターテインメント&メディア、新流通(ホームショッピングや新業態の小売業)の4大事業を展開している。
韓流エンターテインメントやメディアに登場する韓国食が世界に伝播したことで、食材や外食を展開する食品&食品サービス部門も好調である。外食事業では、直営店やフランチャイズを幅広く展開し、世界各地の空港などに韓国レストランを出店している。最近、ソウルの東大門近くにオープンした「CJ Food World」は1フロアに世界のレストランを集め、キッチンスタジオや食品スーパーも併設して人気となっている。
食材事業は、日本ではCJジャパンが、韓国食品メーカーとして最も多い100品目近い韓国食品を販売している。韓国ではどの家庭にもある牛骨スープの素「ダシダ」や韓国のりのほか、韓国定番の焼き菓子ホットクの素である「ペッソル もち米 ホットクミックス」などが売れている。
韓流エンタテイメントの好調が、食品部門にシナジーをもたらす、まさにコングロマリットならではの世界戦略である。

「クールジャパン戦略」に求められるもの
日本のコンテンツ産業の輸出比率は、経済産業省の推計ではわずか1.9%にすぎない。先行する米国の17.8%と比べて著しく低い。国内市場にとどまり、ゲームを除いて海外市場では存在感が薄い。アニメやマンガのように、世界で人気を得ているにもかかわらず、ビジネスに結びついていないのだ。海賊版による利益喪失も大きいが、問題はそれだけではない。
例えば、1998年1月に大ヒットした日本のホラー映画「リング」。2002年に米国のドリームワークスが「The Ring」としてリメイクした。米国での興行成績は1億2900万ドル以上に及ぶ。DVDは初日だけで200万枚も売れた。ドリームワークスが全世界で得た収入は300億円以上と言われている。これに対して日本が手にした額は1億円にも満たなかった。
日本のファッションはアジアで人気がある。日本発のファッション誌がトップの売れ行きを見せている。しかしながら、日本のアパレル商品が海外で売れているわけではない。日本の繊維産業は輸出が輸入の50分の1と極端に低い。韓国はこの比が2分の1だ。輸出が輸入を上回るイタリアなどと比べるべくもない。
政府が2010年6月に発表した新成長戦略では、映画、アニメ、ファッションなどの文化産業を戦略5分野の1つとして位置づけている。経済の牽引役になり、食や観光まで含めた関連産業に従事する要員(現在は300万人)のさらなる拡大を期待している。自動車産業を柱に多額の貿易黒字を計上する日本は、フランス、イタリアなどの文化大国に対しては貿易赤字となっている。韓流の世界戦略に学び、クールジャパン戦略を海外で稼げるビジネスモデルに昇華する必要に迫られている。
石原 昇
(2011年12月5日(月)日経ビジネスオンライン)





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