PC犯罪予告で自白偏重による逮捕

犯罪予告を書き込んだとして逮捕された4人のPCが遠隔操作されてた誤認逮捕に、警察・検察は相次いで謝罪した。


PC遠隔操作事件:「心の痛み 癒えない」、少年の父が捜査を批判/横浜

横浜市立小学校への襲撃予告事件で、静岡家裁浜松支部が少年の保護観察処分の取り消しを決定したことを受け、少年の父親は30日、弁護士を通じて初めてコメントを出した。「徹底的な検証と意識改革をするべきだ」と捜査当局を批判するとともに、「最も悲しいのは、親が息子の無実を疑ってしまったこと」と心情を明かした。

父親のコメントの要旨は次の通り。
「息子は、学業半ばにして突然、逮捕された。強い否認にもかかわらず、十分なパソコンデータの解析も行われないまま取り調べが続いた。警察・検察からの不当な圧力を受け、理不尽な質問で繰り返し問い詰められた。勾留期限が迫り、家族への配慮と自分の将来を考え、絶望の中で事実を曲げて自供した。無実である証拠が出てくることを切望し待ち続けながらも、諦めざるを得なかった息子の心情を思うと、やりきれない。真実を封印しながら生きていくことを選んだ息子の胸中を察すると、親としては、断腸の思いだ。
逮捕されてからの息子と家族の苦悩と心の痛みは決して癒えることはない。最も悲しいのは、親が息子の無実を疑ってしまったことだ。
この件は、警察の構造的・体質的な問題で、国民を守るべき警察が、捜査の怠慢によって無実の国民、しかも少年を誤認逮捕し、冤罪(えんざい)に至らしめるという最もあってはならない事態だ。真犯人の方が警察よりも優れたコンピューターの技量をもっているのを指をくわえて見ている情けない状況だ。このようなことが二度と起きないように徹底的な検証と意識改革をするべきだ。
息子には、心と体をゆっくりと休め、落ち着いた生活をさせたい。マスコミには、過日のような加熱した取材を厳に謹んでいただきたい」
(2012年10月31日 神奈川新聞

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無実の人が自供…PC遠隔操作、事件の本質とは

犯罪予告を書き込んだ容疑で警視庁、大阪、神奈川、三重の4都府県警に逮捕された男性4人はパソコンがウイルス感染するなどし、第三者(=真犯人)によって遠隔操作されていた。「真犯人でない方を逮捕した可能性が高い」。警察庁の片桐裕長官は誤認逮捕を認め、警察や検察は相次いで謝罪した。異例の事態だ。
知らぬ間に他人にPCを覗(のぞ)かれ操作されるなど、想像しただけで鳥肌が立つ。そんなウイルスが存在し、誰でも感染する可能性があること。警察や検察が「想定外だった」という真犯人の工作。捜査技術や態勢が稚拙なのではないかと思えること。事件が派手で論点が拡散しがちだが、目を凝(こ)らさなければいけないのは、誤認逮捕4事件のうち2事件で犯行を認める供述が引き出されている事実だ。やってもいないのに自供が出ているということは、取り調べが誤っていたことを意味する。
横浜市HPに「小学校を襲う」と書き込んだ容疑で逮捕された男子大学生(19)=保護観察処分確定、検察が取り消し申し立て=は神奈川県警や横浜地検の調べに犯行を認めた。調書には「楽しそうな小学生を見て、困らせてやろうと思った」。上申書でハンドルネームの由来も説明したという。あり得ない。どうやったら無実の人にそんなところまで語らせることができるのだろうか。
大学生はあるサイトへのリンク表示をクリックしたが、これに伴って犯罪予告が勝手に横浜市HPに書き込まれた。クリックが別のサイトへの書き込みをスタートさせる不正プログラムが仕掛けられていたのだ。通信履歴によれば、横浜市HPへの接続時間は2秒。その間に250文字以上が書き込まれた。「機械的送信=第三者の犯行」に気がつかなかったのが不思議だ。基本的な捜査が尽くされていたのか、疑問が浮かぶ。
警視庁に逮捕された福岡の男性(28)は「就職活動に失敗し、イライラして」と供述した。捜査員からPCに脅迫メールが残っているのを見せられ、同居女性がやったものと思い、かばおうとしたのだという。やっていない者は犯行を説明できない。虚偽自白を取調官は見破れなかった。
むろん非難されるべきは真犯人だ。それとは別に、「捜査に教訓が生きていない」と思わせるのがこの事件の重大な本質的問題点だろう。PCを普通に使っただけで逮捕され、虚偽自供を余儀なくされる社会など、暗黒である。(編集長 井口文彦)
(10月30日(火)15時3分配信 産経新聞)

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PC遠隔操作事件:再発防止へ検証を、報道も姿勢問われ/神奈川

憎むべきは「真犯人」だ。犯行声明とみられるメールには、県警と横浜地検が謝罪した少年を含め、誤認逮捕された4人に「巻き込んですみません」と記されていた。だが、身体の拘束は解かれても心に深く刻まれた傷は消えない。大きく狂わされた人生を回復させることは容易ではない。
責めを負うべきはしかし、「真犯人」だけではない。
IPアドレスとアクセス記録というサイバー捜査の「伝家の宝刀」をよりどころに、県警、地検とも慎重さを欠いた捜査を続けていた。疑問が生じても立ち止まることなく放置し、「少年が犯人ではないかもしれない」という視点が欠けていた。とりわけ、少年の心の揺れに、より一層の注意が必要だった。ネット犯罪に捜査能力が追いついていないという側面に目を奪われがちだが、問題は捜査の基本を尽くしていなかったことだ。
予告された小学校への襲撃を防ぐことを優先し、少年との接触を急いだとも聞く。だが、人一人の身柄を拘束する逮捕権の行使はあまりに重い。不当に自由を奪い、人権を侵す誤認逮捕は究極の不正義だ。なぜ無実の人間が「自供」したのか。捜査過程の検証は再発防止の第一歩だ。
メディアもまた、問われている。捜査当局の発表に基づき逮捕を報じ、罪なき人を「容疑者」として社会に知らしめた。「何もやっていない」と容疑を否認する少年の供述を記事化してはいる。だが当時、少年に直接取材できない中で、他にどのような取材、報道ができたか。自問は続く。捜査当局の批判に終始するだけではなく、自らの姿勢も省みなければならない。
名誉を回復してほしい-。誤認逮捕の可能性が高まって以降、少年はそう語ったという。その訴えは、関わったすべての人に向けられている。
(2012年10月28日 神奈川新聞

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PC誤認逮捕 捜査検証「公表しない」

横浜市のホームページに小学校の襲撃予告を書き込んだとして、少年(19)が誤認逮捕され保護観察処分となった問題で、横浜地検の堀嗣亜貴(つぐあき)次席検事は二十三日、誘導が疑われている少年の自白の経緯について「少年側のプライバシーと少年事件であることに配慮し、調査結果を公表するつもりはない」と報道陣に述べた。
少年の供述を誘導した疑いもある取り調べの経過など、誤認逮捕の調査結果を公表しないことは、説明責任を果たさないことにもなりかねない。しかし、堀次席検事は「それをはかりに掛けた上での判断だ」と説明。検察組織全体としての判断としたが、対応が問われそうだ。
地検の検事は二十三日、家庭裁判所に少年の保護観察処分取り消しを要請した。家裁は処分を取り消す見通し。堀次席検事は「捜査に不十分な点があった。少年に心よりおわびいたします」とコメントした。
処分取り消しの要請に際し、地検は少年が無実であることを説明する資料を提出した。資料では、他の人物がインターネット上に仕掛けた自動書き込みプログラム(CSRF)が作動し、襲撃予告が書き込まれた可能性が高いことや、不自然な通信記録の検証を怠ったことなどを説明したとみられる。
(2012年10月24日 東京新聞 朝刊)

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PC遠隔操作事件/自白誘導の疑いこそ重大だ

もし「犯行声明」が出されなかったら、逮捕された人たちの冤罪(えんざい)を晴らすことはできたのだろうか。そう思うと、空恐ろしくなる。
パソコン(PC)の遠隔操作によって脅迫メールが送られていた事件で、男性4人の無実が次々に明らかになった。捜査に当たった警視庁と大阪府警、三重、神奈川両県警は誤認逮捕を認めて謝罪したが、厳しく捜査を検証する必要がある。
犯行を「自供」したケースがあったことは、取り調べでの強要や誘導を疑わせる。少年も含まれていたことを考えれば、逮捕前後にどんな取り調べが行われたのか、具体的に解明されなければならない。
解明には何より、当事者からしっかりと聞き取ることが大切になる。警察や検察が行うのではなく、公正な立場の第三者に委ねて捜査経緯を明らかにすべきだ。
4人が逮捕されたのはことし7~9月。襲撃などを予告するメールを当事者側に送りつけたり、インターネットの掲示板に書き込んだりした威力業務妨害容疑だった。
このうち神奈川県警に逮捕された少年は家裁で保護観察処分になり、大阪府警が逮捕した男性は業務妨害罪で起訴された。起訴は既に取り消され、保護観察処分についても横浜地検が取り消しを要請した。
 警視庁と三重県警に逮捕され処分保留で釈放された男性2人についても、東京地検と津地検が不起訴処分を決めた。
逮捕のきっかけになったのは、メールを送信したPCの所有者だったからだ。だが一連の捜査の過程で、他人が勝手に送信した可能性が浮かんだ。今月に入って「犯行声明」のメールも送られたことで、遠隔操作などの方法によって、4人が容疑者に仕立て上げられた卑劣な犯罪だったことが確実になった。
ネット犯罪の捜査能力が問われる事態だが、犯行を「自供」した人がいたことはさらに深刻な問題をはらむ。
保護観察処分になった少年は当然のことながら、逮捕当初は容疑を否認した。ところがその後、容疑を認めた時期があり、「楽しそうな小学生を見て脅かしてやろうと思った」と動機まで説明している。また、メールのハンドルネームの由来も具体的に話した。
少なくとも何らかの誘導がなければ、これほど詳しく作り話をすることはあり得ないのではないか。捜査員は「認めれば少年院に行かなくて済む」などと話していたという。それが本当なら、しゃにむに自白を得ようとしたとしか思えない。
自白偏重の捜査が数々の冤罪を生んできたのは明らかであり、今回の検証では特に虚偽の自供までの経緯を詳しく調べなければならない。
取り調べ状況をきちんと事後検証するためには、やはり録音・録画の全面的な導入が不可欠になる。行き過ぎた捜査を抑制するためにも、あらためて「可視化」を検討すべきだ。
(2012年10月24日水曜日 河北新報)

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PC遠隔操作事件 250字の書き込みに2秒 疑問抱くも放置

パソコン遠隔操作で横浜市のホームページ(HP)に小学校襲撃予告が書き込まれた事件で、神奈川県警は20日、少年(19)=保護観察処分=を逮捕後、約250字の予告文を書き込んだ時間がわずか2秒だったことに気づき、疑問を抱きながら放置していたことを明らかにした。
あらかじめ文章を作成してコピーすれば短時間での書き込みも不可能ではないが、県警は裏付け捜査を怠ったことを認めた。特殊なソフトを使えば可能と判断し、投稿方法などを確認しなかったとみられる。
県警は供述を誘導するような取り調べの有無は「調査中」としているが、捜査員が「認めれば少年院に行かなくて済む」などと話したという。少年は8月15日付で家裁の保護観察処分を受けた。
県警は20日、少年と両親に「捜査の不徹底で誤認逮捕を招いた」と謝罪した。事件を担当した保土ケ谷署の福井隆署長は面会後「少年には不当に逮捕されたことへの憤りが見受けられた。捜査責任者として重大なこととして受け止めている」と述べた。横浜地検の山口幹生刑事部長も実家を訪れ謝罪した。週明けに処分取り消しを家裁に求める見通し。
(2012年10月21日 06:00 スポーツニッポン)

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「早く認めた方が有利」 誤認逮捕の学生に神奈川県警

横浜市のホームページに市内の小学校に対する襲撃予告が書き込まれた威力業務妨害容疑事件で、神奈川県警の捜査員が、容疑を否認していた東京の大学生(19)に対し、「名前が公に出る心配はない」「早く認めたほうが有利だ」といった趣旨の発言で、自供を促していた疑いがあることが警察当局などへの取材でわかった。

■上申書作成、誘導か
取り調べの過程では、犯人と捜査当局しか知り得ない内容が含まれた上申書を大学生が出していたことも判明。警察当局は大学生が認めた経緯や上申書の作成に誘導があった可能性が高いとみて検証を進める。
警察庁は大学生の逮捕は誤認だったと判断し、大学生に謝罪する方針を決めている。一方、神奈川県警は、取り調べ中の捜査員の発言について調査中だが、現段階では「誘導は確認されていない」としている。上申書についても「大学生が書いた」として、捜査手法に問題はなかったとの立場を変えていない。
捜査関係者によると、この事件で県警は、IPアドレスから大学生のパソコンが発信元と特定。捜査員が任意同行を求めると、大学生は「全く知らない」と容疑を否認した。捜査員は任意の調べの中で「君は未成年で名前が(公に)出る心配はない」「早く認めれば処分も有利になる」といった趣旨の発言をしたという。
(2012年10月20日8時1分 朝日新聞)

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PC遠隔操作:ネット犯罪捜査 迫られる見直し

遠隔操作されたパソコン(PC)からの犯罪予告を巡って誤認逮捕とみられるケースが相次いだことから、警察当局は、インターネットに絡む犯罪捜査の見直しを迫られている。IPアドレスによる発信元PCの特定では犯人にたどりつけない手口が明らかになったからだ。海外サーバーを経由した通信や未知のウイルスへの対応など困難な問題をはらんでいるだけに、警察当局の危機感は強い。
警察庁の片桐裕長官は19日の全国警察本部長会議で「容疑者の特定を慎重に行わなければならない」と述べ、過去のネット上の犯罪予告事件についての調査・検証の徹底を指示した。
これまでの捜査は、PCに割り当てられた住所に当たる「IPアドレス」から発信元のPCを特定することに重点が置かれてきた。PCから予告文や送信の形跡が確認されることが、容疑者割り出しの決め手とされてきた。
しかし、この手法だけでは、海外サーバーなどを利用した遠隔操作による「成り済まし」には対抗できないことが、警視庁、大阪府警、三重・神奈川の両県警で相次いだ問題で示された。捜査関係者は「想定していなかった手口だ」と対応の遅れを認める。
警視庁と神奈川県警は2人の男性を逮捕する前に、PCのウイルス検査を実施していなかった。ウイルス検査が検討課題として浮上しているが、全事件での実施は困難との見方が強い。
証拠品となるPCに検査用のソフトを導入することはできないため、保存されているデータをコピーする必要がある。捜査に与えられる時間や設備には制約があり、すべての事件で検査を実施するのは容易でないのが実情だ。
また検査で検知できるのは、すでに認知されているウイルスで、未知のウイルスには効果がない。ウイルスを自動消去するプログラムへの対応も困難だ。
警察幹部は「ウイルス検査が欠かせないケースもあるが、すべての事件への適用が妥当かは慎重に検討すべきだ。単純な対策ひとつを打ち出すだけでは解決できないことに、問題の難しさがある」と話している。【鮎川耕史、村上尊一】
(2012年10月19日 22時08分/最終更新 10月19日 23時29分 毎日新聞

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誤認逮捕「可能性高い」と長官/パソコン事件、謝罪も
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会見する片桐裕警察庁長官=18日正午ごろ、警察庁

警察庁の片桐裕長官は18日の記者会見で、パソコン遠隔操作事件でこれまでに警視庁、神奈川、三重両県警、大阪府警に逮捕された4人について「真犯人ではない方を逮捕した可能性は高いと考えている」と述べ、謝罪を検討していることを明らかにした。
一方、検察当局は横浜市のホームページに小学校襲撃予告が書き込まれた事件で家裁送致後、保護観察処分となった男子大学生(19)の、処分取り消しを家裁に求める検討に入った。神奈川県警の捜査検証を受け最終判断する。
警察は、真犯人を名乗る人物の犯行声明に「秘密の暴露」が多数含まれているため、声明送信者が真犯人との見方を強めている。
(2012/10/18 14:08 四国新聞社)

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警察庁長官、4人の誤認逮捕認める PC遠隔操作事件

遠隔操作されたパソコンからネット上に犯罪予告がされた事件で、警察庁の片桐裕長官は18日の定例会見で、「真犯人でない方を逮捕した可能性は高い。そうだとすれば、おわびを含めた適切な対応を図る」と述べた。警視庁や神奈川県警など4都府県警が逮捕した男性4人は誤認逮捕だったことを認めた。
一連の事件で逮捕された4人のうち、2人は警察や検察の取り調べに容疑を認めていた。このうち神奈川県警が逮捕した男子大学生(19)はすでに保護観察処分が確定している。
警察の取り調べについて片桐長官は「取り調べの経緯も含めて、捜査の状況を検証しているので、現段階ではコメントは差し控える」と話すにとどめた。
また、IPアドレスなどから容疑者を絞り込んでいく現在のサイバー犯罪捜査の手法については「検証中」としながらも、容疑者の特定をこれまで以上に慎重に進める手法を検討していく考えを示した。
(10月18日(木)13時20分配信 朝日新聞)

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PC遠隔操作事件 冤罪招く愉快犯 許せぬ

冤罪(えんざい)を招く事態にまで発展している事件である。警察や検察をあざけるような「犯行声明」には怒りを覚える。
遠隔操作ウイルスに感染したパソコン(PC)から相次いで犯罪予告などが送信されている事件。十数件の犯行に関与したとするメールが真犯人を名乗る人物から民放などに届いた。
「警察と検察に醜態をさらさせたかった。また遊びましょうね」といった記載があるという。愉快犯の可能性が高い。
悪質な犯行を野放しにしてはならない。警察はメールの解析を進め、一刻も早い摘発に全力を尽くすべきである。
一連の遠隔操作事件では、ネット上の掲示板で無差別殺人や爆破を予告した疑いで大阪や三重、福岡の男性が逮捕された。ところが、PCはいずれも遠隔操作ウイルスに感染していた。何者かが本人になりすましていた可能性が高いとして釈放された。
「犯行声明」は、小学校の襲撃予告をめぐり神奈川県警が大学生を逮捕した事件にも言及している。こちらも誤認逮捕の可能性が出てきた。
先入観から見込み捜査に走ってはいなかったか。取り調べに自白の強要はなかったか。警察は過去の類似の否認事件を徹底検証し、結果をつまびらかにする責任がある。重大な人権侵害であり、猛省に値する。ほかにも誤認逮捕があるという懸念もぬぐえない。
捜査当局はこの事件で、捜査手法の抜本的な見直しを迫られた。
ネットにつないだPCには、IPアドレスという識別番号がネット接続業者から割り振られる。犯罪捜査は従来、これを決定的な証拠として犯人を特定してきた。
ところがPCを遠隔操作して乗っ取る手口ならIPアドレスは手掛かりにならない。ネット犯罪は急速に巧妙化している。
警察庁は民間の専門家を「サイバー捜査官」に任命するなど、さまざまな手を打ってきた。それでもなお、ネット犯罪者がはるか先を行っている現実が露呈した形だ。
個人や会社を標的にしたネット犯罪だけでなく、国家機密の流出やかく乱を狙った国際的なサイバー攻撃の脅威も叫ばれる。ここで愉快犯に手をこまぬいているようでは心もとない。「日本はネット犯罪やサイバー攻撃を摘発できない」と思われれば、犯罪の抑止力の面でもマイナスとなろう。
遠隔操作事件は海外など複数のサーバーを経由した形跡がある。犯人の特定は簡単ではないだろう。専門家をもっと登用し、関係機関で連携しながら対応力を磨くしかない。
ネットユーザーは世界的に急増し、並行してネット犯罪のわなも多様化している。取り締まりだけでは限界があろう。PCを製造する側、ソフトを作成する側やユーザーを含め、犯罪防止のあり方を幅広く考えるべきではなかろうか。
一人一人の日常の警戒心も肝心だ。大阪の男性らの場合、ウイルスを仕込まれた無料ソフトをダウンロードしたことが被害の発端となった。従来のウイルス対策ソフトでは発見できなかったという。安易なダウンロードは避けたい。まずは自衛である。
('12/10/17 中国新聞)

知らぬ間に他人にPC操作される…。かねてより噂されてた遠隔操作よりも、警察の密室取調で犯人しか知りえない供述を自供させられたことで、様々な事件で冤罪招く自白強要が日常的に未だ行われてると想像すると鳥肌が立つ。非難されるべきは自らTBSや弁護士に名乗り出た真犯人よりも警察・検察の誤認逮捕だ。だが警察では、同じように否認した過去の“ネット上の犯罪予告事件についてだけ”調査・検証の指示をした。
TBSら各局が大々的に報じたのはPC遠隔操作についてで、自白偏重については後半僅かに触れただけで警察・検察に露骨に配慮。
取調の可視化をマニフェストに掲げていた民主党がしたことは、大臣の肩書きにしか関心なかった田中慶秋の法務大臣入閣、3週間で即辞任。後任を野党時代から可視化に取組んでいた小川敏夫前々法務大臣ではなく、年齢理由に退任していた前任の滝実法務大臣にしたことだけだった。

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