身内に甘い特捜検事処分 TV大半が黙殺

検察は身内の虚偽記載を軽微な処分にしたが、大半のTVメディアは“懲戒処分”と重い処分であるかのように錯覚させて一瞬報じただけだった。
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「虚偽記載」検事 「甘い処分」に募る不信感‎

検察官の記章は「秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)」と呼ばれる。旭日と菊をデザイン化したものだが、霜と日差しのようにも見えるためだ。秋の冷たい霜と夏の激しい日差しという気候の厳しさを表現し、検察官の厳正な職務を象徴している。
この記章の持つ意味を、検察幹部たちは本当に理解しているのか。そんな疑念を抱かせかねない結末である。
小沢一郎民主党元代表の政治資金規正法違反事件の捜査で虚偽の捜査報告書が作成されていた問題で、最高検は刑事告発された元東京地検特捜部の検事を嫌疑不十分で不起訴にした。故意の虚偽記載を立証するのが困難と判断したためだ。
法務省は、この検事が不正確な内容を記載したとして減給の懲戒処分にし、検事は辞職した。
一方、作成を指示した元特捜部長ら当時の上司6人については嫌疑すら認めていない。検察当局は組織的な関与を否定して「個人の問題」と強調する。
この事件で東京地検は小沢氏の起訴を見送り、検察審査会(検審)の起訴相当議決を受けて再捜査が行われた。この際に小沢氏の元秘書を再聴取した元検事が、実際にはなかった小沢氏の関与を認めた理由などを報告書に記載していた。
報告書は検審に提出され、検審が小沢氏を強制起訴する上で大きな役割を果たしたとされている。検審制度の根幹をも揺るがしかねない重大な問題だ。
同僚検事によると、元検事は小沢元代表の捜査を冷静な目で見ており、どちらかというと立件に消極的だったという。
これに対し、立件に積極的だったのが元特捜部長だ。今回の捜査では元特捜部長が捜査報告書を実質的に作成し、元代表の関与をうかがわせる部分を中心に下線を引き強調していたことも判明した。
これでは最高検がいくら否定しても、特捜部幹部に検審の判断を強制起訴に誘導する意図があったと思われても仕方あるまい。その上、身内に「甘い処分」では組織防衛を優先したとの批判が出てくるのも当然だろう。外部機関による徹底した検証を真剣に検討すべきだ。
検察の職務に関係した不祥事は後を絶たない。2010年に発覚した大阪地検特捜部の証拠改ざん隠蔽(いんぺい)事件は記憶に新しい。07年には札幌地検の検事が、東京地検在籍中に強制わいせつ容疑の告訴を取り下げる文書を被害者に無断で作り不起訴にしていたことが明らかになった。
冤罪(えんざい)事件も相次ぎ、国民の検察に対する不信感は頂点に達しているといっても過言ではない。これで「正義の検察」が貫けるのか、大いに疑問だ。
最高検は、検察による独自事件をめぐり検審が起訴相当議決をした場合の再捜査では原則、取り調べの録音、録画を行うなどの再発防止策を打ち出した。だが、検察組織の基本的な姿勢が変わらなければ意味がない。検察官一人一人が「秋霜烈日」の原点に立ち返り、厳正な捜査を徹底するしか検察再生の道はない。
=2012/06/29付 西日本新聞朝刊=
(2012年6月29日 10:39 西日本新聞)

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虚偽報告書処分 自ら律し社会悪に対峙を

身内に甘いと受け取られても仕方がないのではないか。検察当局は猛省のうえで、信頼の回復に全力を尽くさなくてはならない。
陸山会事件の捜査をめぐり、元東京地検特捜部の検事が虚偽の捜査報告書を作成し、虚偽有印公文書作成罪で告発された問題で、最高検は検事を嫌疑不十分で不起訴処分とした。この検事は減給の懲戒処分となり、辞職した。
検事が民主党元代表、小沢一郎被告の元秘書、石川知裕衆院議員を聴取して作成した虚偽の捜査報告書は、2度目の検察審査会に提出され、小沢被告の強制起訴議決の判断材料となった。
だが、小沢被告を無罪とした東京地裁の判決は、検察による虚偽報告書の作成や取り調べ手法を厳しく批判したうえで、小沢被告が政治資金収支報告書の簿外処理について元秘書から報告を受け、了承していたことを認定した。
無実の人を罪に陥れた大阪地検特捜部による郵便不正事件での証拠改竄(かいざん)と、同列に論じることは避けるべきだろう。
それでも、起訴権限という強力な権力を持つ検察は、身内に厳しくあるべきだった。
不起訴処分は今後、検察審査会の場でその適否を審理される可能性が高い。その際、検察には、すべての証拠、資料を遺漏なく提出することが求められる。
検事に対する減給100分の20(6カ月)という懲戒処分は軽すぎたのではないか。
組織的関与を否定したうえで、上司4人を監督責任を怠ったとして戒告や訓告、厳重注意とした処分は適正だったのか。
郵便不正事件や、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の不可解な処理で、検察は国民の厳しい視線にさらされている。不信の払拭に向けて、厳正すぎるほどの姿勢をみせるときではなかったのか。
政治不信に加え検察不信まで膨らんでは、社会の安定はおぼつかない。検察は強く正しい組織として再生しなくてはならない。
最高検は昨年9月、「検察の理念」を策定した。そこには、検察官、検察職員の一人一人に向けて「常に公正誠実に、熱意を持って職務に取り組まなければならない」とうたわれている。
まず組織が、その範を垂れるべきだろう。自らを律し、敢然と社会悪に対峙(たいじ)することだ。
(2012.6.29 03:30 MSN産経ニュース)

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これで検察は再生できるか‎

民主党の小沢一郎元代表が強制起訴された陸山会事件をめぐる虚偽捜査報告書問題で、刑事告発されていた元東京地検特捜部検事について、最高検が嫌疑不十分として不起訴処分にした。
法務省は国家公務員法にもとづく減給処分を科し、この検事は辞職した。
検察が自らの捜査で起訴できなかった容疑者について、ニセの証拠で検察審査会を誘導し、強制起訴させたのではないか。そんな疑念を抱かせる深刻な問題である。不起訴と辞職で一段落とはいかない。組織全体の危機と受け止め、再発防止に取り組むべきだ。
陸山会事件で東京地検は小沢氏の起訴を見送った。だが検察審が「起訴相当」と議決したため再捜査した。この際に小沢氏の元秘書、石川知裕衆院議員を再聴取した検事が、同議員が小沢氏の関与を認めた理由を述べた部分などで実際にはなかったやり取りを捜査報告書に記載した。虚偽の報告書は検察審に提出され、小沢氏起訴の根拠になったとされる。
辞職した検事は「勾留中に話したことと記憶が混同した」と説明し、最高検は「思い違いの可能性が否定できない」と判断したという。だが小沢氏の裁判で東京地裁が「信用できない」と断じたように、この説明は納得しがたい。
検察審査会は検察の起訴権限の行使が適切かどうかを市民感覚でチェックする重要な役割を担っている。その検察審の判断が、検察の提出する誤った証拠に左右されてしまうとすれば、制度の根幹を揺るがす大問題である。
ロッキード事件やリクルート事件など、政財界にはびこる構造的な犯罪を摘発したかつての検察の姿は今はない。恣意的な捜査や証拠品改ざんという信じられない行為で、積み上げてきた歴史を自ら汚し、おとしめてしまった。
検察を見る国民の目はかつてないほど厳しい。強引な取り調べの排除など、相次ぐ不祥事を受けて打ち出した再生に向けた取り組みを突き詰めていくこと以外、信頼を取り戻す道はない。
(2012/6/28付 日本経済新聞)

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特捜検事処分 身内に甘すぎないか

陸山会事件をめぐり事実に反する捜査報告書を作成した、元東京地検特捜部の検事と当時の上司を、法務省が懲戒処分した。
この捜査報告書は、市民からなる検察審査会に提出され、民主党の小沢一郎元代表の起訴を決める根拠になったとされる。責任は重大である。
最高検察庁が再発防止策をまとめている。相次ぐ検察の不祥事の根を絶つには、捜査権や起訴権を握る検察官一人一人が、高い職業倫理を取り戻すほかない。
小沢氏の資金管理団体「陸山会」の虚偽記入事件で、元検事は、小沢氏の秘書だった衆院議員の供述を取った。
報告書には、元秘書が小沢氏の虚偽記入への関与を認めた理由として「検事から『うそをつくようなことをしたら、選挙民を裏切ることになる』と言われたことが効いた」と記載。が、実際はこんなやりとりはなかったことが、元秘書の“隠し録音”の内容から明らかになった。
東京の市民団体が、元検事を告発し、大阪の市民団体も罷免を求めていた。
処分は元検事を減給にとどめ、最高検は不起訴とした。「記憶が混同していた」などと意図的な捏造(ねつぞう)を否定し、故意の確証も得られなかったためという。
東京地検特捜部は、ゼネコンからの裏献金が資金源になったとの構図を描き、陸山会の捜査に着手している。小沢氏に無罪判決を言い渡した東京地裁は判決で「特捜部が事件の見立てをし、担当検事が見立てに沿う供述を獲得することに力を注いでいた状況がうかがえる」と、捜査報告書の捏造に至った背景に言及した。
小川敏夫前法務相は退任後の会見で、元検事の起訴を目的に指揮権の発動を考えたことを明かしていた。検察の独立性を脅かす軽率な判断との批判を招いたけれど、「いいかげんな幕引きでは国民の信頼回復は遠のく」との言い分は的を射ている。
小沢氏の強制起訴の一因になったことを考えれば、身内に甘い処分との批判は免れない。
大阪地検特捜部の証拠改ざん隠蔽(いんぺい)事件を受け、最高検が再発防止策をまとめたばかりである。いったい幾つの規則を設ければ、不祥事を防げるのか。
功名心や競争心のあまり、常識を逸脱する組織体質こそ問題ではないのか。対症療法的な対策よりも、検察官それぞれが使命と役割を再認識し、捜査の基本に立ち返る意識改革こそ求められる。
(06月28日(木) 信濃毎日新聞)

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【社説】検事不起訴 身内に甘すぎる処分だ

小沢一郎民主党元代表が強制起訴された陸山会事件で、虚偽捜査報告書を作成した検事を検察当局は不起訴とした。明らかなねつ造文書だ。これでは身内に甘すぎて、検察改革の信用も失墜する。
「記憶が混同した」「故意ではなかった」などの検事の釈明が、一般の国民にはとても通用するとは思えない。それほどでたらめな内容の捜査報告書である。
検察審査会が小沢元代表を起訴相当と議決した後、小沢元代表の元秘書石川知裕議員を東京地検の田代政弘検事が再聴取した。石川議員はICレコーダーで録音したため、虚偽の全容が明らかになった。
石川議員が「検事から『議員なのにうそをついたら選挙民を裏切ることになる』と言われたのが効いた」と述べたと報告書に書かれているが、やりとりは架空だった。むしろ報告書の大半は、検事の“作文”だ。ねつ造に等しい。
田代検事らが虚偽有印公文書作成などの容疑で告発されたが、検察当局は刑事責任を問えないと、検事全員を不起訴処分とした。身内に甘すぎる判断と言わざるを得ない。田代検事は石川議員が逮捕された際に取り調べたが、三カ月も前の記憶が混同したと言っても、国民は誰も信じはしまい。
問題は当時の佐久間達哉特捜部長ら幹部にも濃厚にある。別の報告書は佐久間氏自ら作成した。自分が自分に対して報告するという、でたらめもまかり通っていた。しかも、報告書のほとんどは小沢元代表が陸山会事件に深く関与していたことを示す内容だ。
そもそも検察審に検事が出向くのは、小沢元代表を不起訴にした説明をするためだ。それなのに元代表に不利な記述部分に下線を引くなどして強調したのは、市民の判断を誤らせる。小沢元代表が強制起訴されたのは、検察の詐術的な手法のせいではないか。
田代氏は減給、佐久間氏らは戒告などの行政処分を受けたが、あまりに軽すぎる。そもそも同僚の検事に対して、適正な捜査を尽くしたかどうかも不明だ。検察審制度を恣意(しい)的に利用したとみられているのに、最高検は「誘導する意図があったとは認められない」という報告書を作成した。
これでは検察改革で新設された監察指導部が、組織として自己弁護に終始している。この問題が検察審で審査されても、検事側に有利な書類ばかり提出されよう。市民が適正にチェックできない事態を招かないか、心配だ。
(2012年6月28日 東京新聞)

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社説:虚偽記載処分 検察改革はまだ途上

小沢一郎・民主党元代表の政治資金規正法違反事件に絡み、東京地検特捜部作成の捜査報告書に虚偽の記載がされていた問題で、関係者の刑事処分と懲戒処分が公表された。
虚偽有印公文書作成容疑などで告発されていた作成者の田代政弘検事、作成を指示していた佐久間達哉・元特捜部長らについて、検察当局は不起訴処分とした。
一連の経緯を振り返ってみたい。検察審査会は10年4月、陸山会事件で地検が不起訴とした元代表について「起訴相当」とする最初の議決をした。それを受け、元秘書で衆院議員、石川知裕被告に対する田代検事による再聴取が翌月、行われた。その後、田代検事が、元代表の事件関与を認めた石川被告とのやりとりについて実際にはない文言を記載した報告書を作り、2度目の審査会に提出した。そして、議決を経て元代表は強制起訴されたのである。
元代表側は検察が審査会を誘導したと公判で強く批判した。また、元代表に無罪を言い渡した4月の東京地裁判決は、事実に反する内容の報告書が作られたと認定し、経緯の調査を検察に求めていた。
27日に検察が公表した調査結果では、確かに報告書に不正確な記載はあったが、他の取り調べ時などで同趣旨のやりとりはあったと結論づけた。従って、田代検事が思い違いをしていた可能性は否定できず、故意性の認定は難しいというものだ。
事件処理を巡り、小川敏夫前法相が検察の捜査姿勢に疑念を持ち、指揮権の発動を計画したことを明らかにした。「公益の代表者」である検察が身内に甘い処分をすることが許されないのは言うまでもない。
一方で、捜査や公訴提起が「法と証拠」に基づくのは刑事裁判のルールだ。検察審査会への申し立てがあれば、今回の処分の是非について市民目線でチェックを受ける。検察はこれまで以上に分かりやすい説明を心がけねばならない。
調査では、検事と上司の意思疎通が不十分だったことなどを指摘し、審査会の目を曇らせないための具体策も盛り込んだ。
また、人事上の処分として、田代検事を減給6月とした。当時の検事正や佐久間元部長ら上司4人の監督責任も問うたのは当然だ。
大阪地検特捜部の証拠改ざん事件以後、検察に対する国民の目は厳しい。捜査や公訴提起はもちろん、再審裁判への対応など、検察権の行使は、個人の「基本的人権」と真っ正面からぶつかり得る。それだけに、個々の職員の自覚はもちろん、組織として落ち着いた適切な対応を取る体制が求められる。検察改革の原点を改めてかみしめてもらいたい。
(2012年06月28日 02時30分‎ 毎日新聞)

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虚偽報告書処分 身内への甘さが招く検察不信(6月28日付・読売社説)‎

検察が身内に対して厳正な捜査をしたとは到底言い難い。
民主党の小沢一郎元代表が政治資金規正法違反に問われた陸山会事件で最高検は、事実と異なる捜査報告書を作成した元東京地検特捜部検事を不起訴とした。
法務省は併せて、この検事を減給、上司だった元特捜部長らを戒告の懲戒処分とした。処分を受けて、検事は辞職した。
報告書の重要性を考えれば、検察の対応は問題だ。減給にとどめた処分も甘いのではないか。
報告書は、特捜部が小沢氏の秘書だった石川知裕衆院議員を再聴取した内容をまとめたものだ。
捜査段階で小沢氏の関与を認めた理由について、石川議員が語ったかのような記載があった。報告書はその後、検察審査会に送付され、小沢氏の強制起訴を決めた議決の判断根拠の一つとなった。
ところが、再聴取では、報告書にあるような発言はなかった。
最高検は、虚偽有印公文書作成容疑などで告発された元特捜検事の行為について、「意図的なものではなかった」と結論づけた。元特捜検事が「過去の取り調べのやりとりと記憶が混同した」と説明したことを根拠にしている。
だが、報告書は一問一答形式で詳細に書かれており、釈明に説得力を欠くのは明らかである。
そもそも、検察審査会制度は、一般市民から選ばれた審査員が検察の提出証拠や資料に基づき、不起訴の是非を審査するものだ。その判断材料を歪(ゆが)めたのは、看過できない行為と言える。
この問題では、小川敏夫前法相が退任記者会見で、検事総長に積極捜査を促す指揮権の発動を検討していたことを明かした。
指揮権は、検察の暴走に歯止めをかけるため、検察庁法で法相に与えられた権限だ。国の安全保障にかかわる重大事件などでの発動が想定されている。
安易な発動は司法への政治介入を招きかねず、過去に発動された例は1度しかない。今回のケースが発動を検討するほどの事件だったかどうかは疑問が残る。
ただ、法相に捜査が消極的だと見られたことについて、検察は猛省しなければならない。
最高検は、検察審の議決を受けた後の再度の取り調べでは、録音・録画を実施するなどの再発防止策を公表した。
検察不信の払拭には、公益の代表者として適正な捜査に徹する意識を検事一人ひとりに徹底させることが何より重要だ。
(2012年6月28日01時49分 読売新聞)

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ゆがみ露呈、自浄作用働かず 虚偽捜査報告書問題

当時の東京地検特捜部部長と担当検事らの懲戒処分という結果を招いた陸山会事件の一連の捜査は、改革途上にある検察組織に、また一つ教訓を残した。27日に発表された最高検の検証結果では、田代政弘検事の取り調べについて「不適切だった」と反省する一方、なぜ虚偽の捜査報告書が作成されるに至ったのか、特捜部の風土や上司の関与など組織的な問題までには深く切り込まなかった。
小沢一郎民主党元代表は無罪になったものの、4月の東京地裁判決は「不記載などの報告を受け、了承した」と一定の関与を認定した。小沢氏の関与があると見立てた捜査が全面的に否定されるものではなく、大阪地検特捜部の郵便不正事件とは趣を異にする。
だが、見立てに執着した捜査や行き過ぎた誘導、威圧的な取り調べはあってはならない。田代氏の取り調べは境界線上にあるといえる。政界汚職捜査で有罪判決を勝ち取ってきた“成功体験”に隠れ、特捜部にゆがみが生じていた感は否めない。
郵便不正事件での証拠改竄(かいざん)を受け、検察当局は昨年以降、特捜部事件への可視化の導入など組織改革を行ってきた。今回の問題は改革前の出来事とはいえ、組織の自浄作用が働いていなかったことが改めて浮き彫りになった。可視化の導入などで捜査を取り巻く環境は厳しさを増している。批判に耐える取り調べを実現するため、捜査の現場には、不退転の覚悟と努力が求められている。(上塚真由)
(2012.6.28 01:07 MSN産経ニュース)

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虚偽捜査報告書、歯切れの悪い説明に終始 最高検「田代氏の判断」

陸山会事件をめぐる虚偽の捜査報告書問題で、法務・検察当局は27日、元東京地検特捜部の田代政弘検事(45)らを不起訴とした。最高検は会見で、虚偽記載は田代氏の判断だったことを強調。「公判中の内容も含まれるので詳しく話せない」とするなど、歯切れの悪い説明に終始した。
「捜査活動に対し、国民の皆さまに疑念を抱かせるような事態を招いた」。処分を受け、笠間治雄検事総長は自身も10年以上在籍した特捜部の不祥事に遺憾の意を示した。
最高検は午後5時から会見を開き、捜査を担当した長谷川充弘検事は「捜査報告書は口語調で書かれたやりとりだったことが誤解を受けかねない」と説明。ただ、虚偽記載は「彼自身の判断でそうしたことだ」(上野友慈検事)と強調し、虚偽記載をするよう上司の指示があったことは否定した。
民主党元代表、小沢一郎被告(70)の弁護団も午後7時から会見。弘中惇一郎弁護士は「今回のような形で決着をつけたことで検察庁は威信を下げた」と不満を漏らし、喜田村洋一弁護士も「通常の刑事事件ではありえない甘い認定だ」と批判した。
検察OBからも厳しい声が上がった。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「田代氏に公正性の意識が欠如していた」とコメント。元同部長の石川達紘弁護士は「供述を引き出す能力の低下。これが虚偽記載につながったのではないか」と指摘した。
      ◇
陸山会事件に詳しいノンフィクションライター、森功氏 「田代検事が悪意を持って報告書を書いたとも言い切れず、不起訴処分は妥当だろう。ただ検察が問題を事前に把握しながら自ら公にしなかったことを、不適正ではないと結論づけた点は釈然としない。外部の関係者が報告書と録音の齟齬(そご)に気づかなければ、問題が闇に葬られる可能性があり、検察の自浄能力はまだまだ不十分だ」
村岡啓一・一橋大学法科大学院教授(刑法) 「『刑事責任は問いたくないが、処分なしにもできない以上、行政処分で済ませよう』との法務・検察当局の思惑が見える。ただ、これを契機に、取り調べの可視化や再捜査時の検事交代制など再発防止策が講じられたことは司法の前進といえる。再発防止のために、日本も米国のように検察官の倫理規則を早期に制定すべきだ」
(2012.6.27 23:22 MSN産経ニュース)

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虚偽報告書問題:検察幹部 組織的関与の否定に追われる

「田代政弘元検事の捜査報告書は虚偽とは言えない」「上司らが不適切な取り調べを指示したことはない」。小沢一郎元民主党代表が強制起訴された陸山会事件を巡る「虚偽」報告書問題で、最高検は27日、処分内容を公表した。フリージャーナリストも受け入れ約2時間の「説明会」で、検察幹部は組織的な関与の否定に追われた。【山田奈緒、吉住遊】

説明会には林真琴・最高検総務部長ら4人が出席。報告書について「誤解を受けかねないが、意図的な虚偽記載ではない」とし、問題の根幹を「衆院議員の石川知裕被告の供述を維持することに固執した田代元検事の個人の判断」と強調。佐久間達哉・前特捜部長ら上司については「再捜査にあたり、具体的にどういう調べをするのか検事同士に共通の認識がなかった」と田代元検事に対して特別な指示をしていなかったとの認識を示した。
また、11年1月の段階で報告書と実際の取り調べ内容に食い違いがあることを認識していたにもかかわらず、公表しなかった点を問われると「発覚時に調査したが、石川被告の裁判が進行中で影響を与えたくなかった」と釈明した。
今後、刑事告発した市民団体側が不起訴処分に対し検察審査会に申し立てる可能性もあるが、ある検察幹部は「検察審にも理解してもらえるよう調査を尽くした」と強調した。
一方、元代表の弁護団も同日夕、東京・霞が関で記者会見を開いた。弘中惇一郎弁護士は「田代元検事の弁解をうのみにし、刑事責任を追及せず、懲戒処分も軽い。他人に厳しく自分の組織に寛大で検察の威信を下げた」と批判した。
★田代政弘元検事 98年任官。45歳。横浜、甲府地検などを経て05年4月〜06年3月と09年4月〜11年3月の計3年間、東京地検特捜部に在籍。06年4月から3年間、証券取引等監視委員会にも出向した。「優秀で熱心な『調べ検事』。先輩や部下の信望も厚い」(元同僚)との評もあり、2度目の特捜部時代は主に陸山会事件で小沢一郎・民主党元代表の元秘書、石川知裕衆院議員の取り調べを担当。元代表の関与を認める供述を引き出した。
★捜査報告書問題 小沢一郎・民主党元代表が強制起訴された陸山会事件で、東京地検特捜部(当時)の田代政弘検事が元秘書の石川知裕衆院議員を再聴取した際、実際にはなかったやりとりを捜査報告書に記した問題。石川議員の「隠し録音」で発覚した。報告書は検察審査会に送られ、2度目の起訴議決に影響したとして市民団体が刑事告発、東京地裁も元代表への判決(4月)で検察に調査を求めた。

◇「処分が軽い」石川被告
小沢元代表の元秘書で衆院議員、石川知裕被告(39)は毎日新聞の取材に「田代検事の思い違いはあり得ない」と最高検の調査結果を批判。大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠蔽(いんぺい)事件と比較し「処分が軽い。田代検事だけに責任を押しつけているからではないか。これではトカゲのしっぽ切りだ」と話した。
また、刑事告発した市民団体は「検察は動かぬ証拠があるにもかかわらず不起訴とし、非常に軽い行政処分のみで終わらせようとしている。容認できるものではなく、強く抗議する」とのコメントを出した。【鈴木一生】
(2012年06月27日 22時04分/最終更新 06月28日 00時48分 毎日新聞)

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混乱極めた法務・検察 再び権威失墜、なお火種も‎

大阪地検の証拠改竄(かいざん)・犯人隠避事件に続き、今回の問題で検察の権威は再度失墜した。処分内容や時期をめぐって混乱を極めた法務・検察当局。早々に幕引きとしたい意向だが、なお“火種”はくすぶり続ける。

■まずいことに…
「まずいことになった。大阪に次ぐ不祥事だ」
平成23年12月、捜査報告書の虚偽記載が指摘されたのは小沢一郎民主党元代表の公判直後。検察幹部は、検事が証拠品に手を加えるなどした大阪地検の不祥事を引き合いに出し危機感をあらわにした。
刑事告発を受けた捜査では、虚偽記載の背景に「組織の関与」があった疑いが浮かんだ。捜査報告書は佐久間達哉特捜部長(当時、現法務総合研究所部長)らの指示で作成。佐久間部長は虚偽記載部分を引用した別の報告書で、小沢元代表の関与を疑わせる箇所に下線を引いていた。
「陸山会捜査に慎重だった検察首脳に反発し、検察審査会を使ってでも元代表を起訴したいという特捜部の意向が働いたのではないか」。そうした見方も内部に広がった。
組織内の対立は田代政弘検事らの処分でも顕在化。「捜査報告書は一問一答形式で明確。記憶の混同という説明は通じない」(検察幹部)との声が浮上する一方、別の幹部は「以前の調べの中身をまとめた形で記載しただけで、完全な捏造(ねつぞう)ではない」と逆の考えを口にした。

■強制起訴の余地
5月にはインターネット上に捜査報告書が流出。一方、小川敏夫前法相が不起訴の方針に反発し、野田佳彦首相に指揮権発動を打診していたことが判明するなど余波が広がった。
処分時期も混乱した。法務・検察当局は4月26日の小沢元代表の判決直後に設定していたが、東京地裁が判決で痛烈に検察捜査を批判したことで振り出しに。意見の集約に手間取った上、社会保障・税一体改革関連法案をめぐり、政局の軸となっている小沢元代表側を刺激したくないとの意向が働き、延びに延びた。
ようやく処分にこぎつけた法務・検察当局だが、告発した市民団体は不服として検察審査会に審査を申し立てる意向で、田代氏が強制起訴される余地が残る。小沢元代表の控訴審でも問題は蒸し返される可能性が高い。検察幹部は「大阪の不祥事と質は違うが、組織のあり方が問われた。信頼回復は遠く、虚心坦懐(たんかい)に自らを見つめ直さなくてはならない」と話した。
(2012.6.28 00:03 MSN産経ニュース)

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虚偽報告書作成、田代検事を不起訴処分に
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民主党・小沢一郎元代表の元秘書を事情聴取した検事が捜査報告書に事実と違う内容を記載した問題で、検察当局は27日、この検事を不起訴処分とした。
元東京地検特捜部・田代政弘検事は、小沢元代表の元秘書・石川知裕被告を事情聴取した際、捜査報告書に事実と異なる記載をしたとして告発されていた。これに対し、検察当局は「思い違いの可能性を否定できない事情もあり、故意を認めるのは困難」として、田代検事を嫌疑不十分で不起訴とした。
また、法務省は田代検事を減給6か月、当時の東京地検特捜部長だった佐久間達哉検事を戒告の懲戒処分とした。田代検事は27日付で辞職した。
(2012年6月27日 22:03 日テレNEWS24)

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検事と元特捜部長を懲戒処分
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民主党の小沢元代表が強制的に起訴された事件をめ巡り、東京地検特捜部の検事が事実と異なる捜査報告書を作成していた問題で、法務省は、この検事を減給の懲戒処分にし、検事は27日付けで辞職しました。
監督責任があったとして、当時の検事正や特捜部長ら上司4人も厳重注意や戒告などの処分を受けました。
1審で無罪が言い渡された民主党の小沢一郎元代表の事件では、元東京地検特捜部の田代政弘検事(45)が、検察審査会の議決を受けて、元秘書の石川知裕衆議院議員を事情聴取した際、事実と異なる内容の捜査報告書を作成しました。
この報告書が検察審査会に提出されたことなどから、最高検察庁が関係者から事情を聞くなど、調査を進め、27日、結果を公表しました。
この中で最高検は、「石川議員の供述の趣旨とは実質的には反しない内容になっているが、捜査報告書に書かれているやり取りが実際にあったという誤解を与えかねないもので、不適正と言わざるをえず、慎重さを欠いた軽率な行為だ」と指摘しています。
調査結果を受けて、法務省は、捜査報告書に不正確な内容を記載したとして、田代検事を20%の減給6か月の懲戒処分にし、田代検事は27日付けで辞職しました。
また、当時の上司に監督責任があったとして、東京地検検事正だった岩村修二名古屋高検検事長(62)を厳重注意、佐久間達哉前特捜部長(55)を戒告、齋藤隆博特捜部副部長(49)を訓告、それに、元特捜部の木村匡良検事(50)を戒告の処分にしました。
一方、最高検は、問題の捜査報告書の作成は意図的だったとまでは言えないとして、虚偽公文書作成などの疑いで告発されていた田代検事や上司ら合わせて7人について、刑事責任は問わず、いずれも不起訴にしました。
さらに、最高検は再発防止策として、検察審査会の議決を受けた捜査では原則として取り調べを録音・録画することや、当初の捜査を担当した検事を交代させることなどを、新たに決めて公表しました。

石川議員“処分はとかげの尻尾切り”
今回の処分について、田代検事から事情聴取を受けた石川知裕衆議院議員は、「田代検事は、自分の判断だけではなく、上からの指示もあって、事実と異なる捜査報告書を書いたと思う。処分されるのはやむをえないという思いと、組織に無理をさせられてかわいそうだという思いが交錯している。一番の問題は、事実と異なる捜査報告書を書かせた検察という組織であり、今回の処分は、とかげの尻尾切りだと思う」と話しています。

検事総長“信頼回復に努力”
現職の検事5人が人事上の処分を受けたことについて、笠間治雄検事総長は、「村木厚子さんが無罪になった事件など、一連の検察不祥事で失われた信頼を回復させようとしているなかで、国民が疑念を抱くような事態を招き、誠に遺憾です。今後、改善策を講じて、組織が一体となって信頼を回復できるよう、真摯(しんし)に努力していきます」というコメントを出しました。
(6月27日 15時42分 NHK)

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捜査報告書問題で懲戒処分へ
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民主党の小沢元代表が強制的に起訴された事件を巡り、当時の東京地検特捜部の検事が事実と異なる捜査報告書を作成していた問題で、法務省は27日午後にも、この検事と当時の特捜部長を懲戒処分にする見通しです。

1審で無罪が言い渡された、民主党の小沢一郎元代表の事件では、当時、東京地検特捜部に在籍していた田代政弘検事(45)が、検察審査会の議決を受けて、元秘書の石川知裕衆議院議員を事情聴取した際、事実と異なる内容の捜査報告書を作成しました。
この報告書が検察審査会に提出されて、2回目の議決の判断材料の一つになっていたことなどから、最高検察庁が関係者から事情を聞くなど、調査を進めてきました。
調査結果を受けて、法務省は、田代検事と当時の東京地検特捜部の佐久間達哉部長(55)の2人を、27日午後にも減給などの懲戒処分にする見通しです。
一方、最高検は、検察審査会の議決を受けた捜査では取り調べを録音・録画することなどを盛り込んだ再発防止策をまとめていて、処分に合わせて公表する方針です。
また最高検は、問題の捜査報告書の作成は意図的だったとまでは言えないとして、田代検事や佐久間前特捜部長の刑事責任は問わず、いずれも不起訴にする見通しです。 
(6月27日 12時39分 NHK

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指揮権発言の小川前法相「なぜクビになったのかわからない」

現在も余波の続く6月4日の小川敏夫・前法相「指揮権発動」発言――。小川氏は、小沢一郎氏の陸山会事件をめぐり、東京地検特捜部の田代政弘検事(当時)が虚偽の捜査報告書を作成したとされる問題について指揮権の発動を決意したが、総理の了承を得られなかったと述べた。
 多くのメディアは政治と検察の均衡を損なうとして批判的に報じている。その真意をジャーナリスト・青木理氏が質した。

――昨年末、関係者の間では麻原死刑囚の執行も間近と取りざたされていました。
小川:僕の大臣就任はオウムの平田(信)が逮捕された後の1月13日。その前には一切麻原の件には関わらなかった。その後逃亡犯が次々と出てきたから、とりあえず消えたんじゃないか。
でも実際、彼らもやりたかったと思うよ。共犯者の裁判が終わり舞台が整ったなんてことが新聞で盛んに流されていましたから。あのマスコミへのリーク情報を見ると、執行への環境作りをしようとしたとしか思えない。

――小川さんの(指揮権)発言に対しても大手紙から一斉に批判がでました。
小川:各社横並びの記事ですよ。法務官僚が総力をあげて法務記者クラブにふきこんだんでしょう。

――田代検事が不起訴になったら検察審査会にかければよい、との社説(朝日)もありました。とはいえ、検察が捜査をするつもりがなければ証拠も何もない。
小川:そうですし、検察審査会は捜査機関じゃない。僕は今回の発言を政治介入だと批判記事を書いた記者に聞きたいですよ。じゃああなたたち、検察がこれは『田代の記憶違い』と処理したときにあなたたちはその処分の仕方を褒めるかと。国民は怒りますよ。結局、あんな風に御用記事を書き、退任会見をさんざん批判した後に、僕のことは一切話題にしない。

――ところで、なぜ大臣の座を外されたんですか?
小川:さあ、僕はなぜクビになったのかもわからない。

――ひょっとすると指揮権発動の件が引き金ですか。
小川:それはわからない。でも僕の存在を快く思っていない人間がいたのは事実でしょう。実は(首相に相談後の)5月中旬に、僕が土地を不正購入したとかのデマが一斉にマスコミに流れた。党幹部が心配して大丈夫かと。まったくの根も葉もない話ですよ。6月中旬に僕が告発されるとかの話にまでなっていたようです。

―一体誰がマスコミに情報を流したんですか。やはり法務、検察ですかね。
小川:それは証拠がないからわからないけど……。

――彼らは怖いですよ。三井環さん(※)の事件はご存じでしょう。あの程度で有罪にされるんだったら、法務省の役人の半分ぐらいは有罪にされるんじゃないかって気がしますけどね。
小川:僕もそのうち仕返しで捕まるかもしれないな(笑い)

※2002年4月22日、大阪高等検察庁公安部長の三井環氏が詐欺容疑で逮捕。その後、公務員職権濫用罪などで起訴され、懲戒免職に。起訴内容は前例にないほどの微罪。三井氏は逮捕前、検察の裏金問題を告発するつもりだったため、口封じによる逮捕と主張している。
※週刊ポスト2012年7月6日号

(2012.06.26 07:00 NEWSポストセブン)

詳細まで報じてキャスターが検察批判したのは報道ステーションだけで、ニュースJAPANは一瞬触れたが、NEWS23クロスは完全黙殺。日テレはフジと同様に懲戒処分を強調、重い処分であるかのように放送。
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TBSで、みのもんたが9電力株主総会記事で見て東電批判後「それともう一つ。これまた東京新聞に行っちゃうんですけど…なんだこれ!もっと厳しいかと思ったよ」と検察の処分内容を一瞬批判した。

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